my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

雨の日のRiddle

このところ雨が降ると必ずテンションが落ちる。春だからかな、とか思ったり。そんなお年頃かしら(をい!)とか思ったり。冷たくなった手足をさすりながら、窓の外を見る。高層ビルの群や東京タワーや富士山も霞んでいる。高層ビルから見る大きくて広い空はミディアムグレイ。
明るく挨拶をして通り過ぎていく新入社員達。わたしのいるフロアの会議室では今月いっぱい新入社員が研修中なので、よくすれ違うのだ。会社で友達ができて、まだ何も知らなくて、クローゼットの中もさほど豊かじゃない、そんな新入社員達。その笑顔が眩しすぎて、何故かわたしが恥ずかしくなってしまう。同僚が「いつまでもつかね、あの笑顔」と呟く。その何にも分からないから笑っているという笑顔が、引き締まったものになっていくのは、どのくらいでなんだろう。わたしもずいぶん前はあんな笑顔をしていたのだった。いつからあんな笑顔が怒ったりしかめっ面をしたり泣いたり、で、変わっていったんだろう。
午後、一山越えたはずの仕事が、ぶり返してきて、ドタバタと過ぎていく。パズルみたいな問題をマクロとミクロで眺めて解析する。入り組んだ中に見つけた正解。ヒントをくれた人に、実はこういうトリックだったと報告に行くと、相手も喜んでいた。仕事に限ったことではないけれど、心がけていることがある。もし、謎を見つけたとき、一緒に考えてくれた人がいたら、その人には必ず経過報告をするということ。一緒に頭を捻ったのだから、解決したらオチは必ず知りたいと思うから。そしてわたしに寄り添って考えてくれた人ほど、報告に行くと必ず喜んでくれる。それは謎が解けた喜びの顔。その笑顔は、何も知らない笑顔より、わたしにはずっと愛おしく思える。何かにコミットし続けなければできない笑顔だから。そうしたことがなければ、味わえない笑顔だから。
「さすがですね」と褒めていただく。「それほどでも〜」とくれよんしんちゃん風に答える。こんな風にパズルになってて、こうやって解いたんだよ!と、ネズミを主人に見せに行く猫のように、同僚に言って「えらいぞ、よしよし」してもらう。このとき、精神的には「もっと褒めて〜」とゴロゴロしている猫状態である。
そして昔からそうだったと思い出す。わたしは、上辺だけを撫でていくような言葉より、頭の中身を褒められることが大好きな変な女だったんだってことに。
そんな変な自分が、なかなか気に入っているんだってことに。