my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

Release

解放されたと感じるときがある。戒めを解かれたように、心が伸び上がるときが。空が高くなって、不安や憂鬱がすうっと引いていく。掛かっていた負荷や圧がスッとなくなって四肢が自由に動く。肩が背中が軽い。見渡しがきく。
ふと振り返っても、あの苦しく長かった暗い森は、ほんの小さな茂みでしかなく、歩いてきた道は日だまりに抱かれた長い長い緩やかな一本の道に見える。沢山迂回してきたような気がするのに、見下ろせば、普通の道。そんなものなのかもしれない。
この道はどこへ続いているのかなんて、行く当ては分からないけれど、歩き続ける。今日と同じような足取りで。明日も、明後日も、わたしは歩き続ける。季節は夏に向かうように。
きっと息絶えるその日まで。たった1人で歩いてきた、自分の足で歩いてきた、ただそのことに誇りを持って。
それがわたしにとって、生きるということ。