my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

お仕事の人

信じられない日々だった。
上司が入院し、直属の上司が全てを放棄し、放置されたままの仕事を到底無理な期限で、引き継ぎもなく、資料も十分になく、仕上げなければならなかった。
泣きたいのだか、笑うしかないのだか、それすらも分からない。ただ目の前の山を片づけていくことだけ。逃げ出したくなることなんてそうそうこの歳になるとあるもんじゃないけれど、久々に逃げ出したくなった。仕事は嫌いじゃないけれど、こんなに苦痛に感じるほど抱えたのははじめてかもしれない。

誰も責任を取ろうともしない。
誰も目を合わせない。
心配して早くから忠告していたのはわたしだけだったのに、それに誰も応じてくれないから、もう知らないと思っていたのに。
結果的に全てはここに残されている。

雨の中、帰り道に傘の中で涙が出てきた。
思い切り泣けたらいいのに、どうしてこらえてしまうんだろう、わたしは。
それでもじわりと滲んでくるのは、悔しいからだろうか、悲しいからだろうか。切ないんだろうか。

帰宅したら娘がこう言った。
「ママは自分のこと、お仕事の人だって思っているでしょ?」
「ん。最近そうなっちゃっているよね。ごめんね」
「違うよ。ママは家族が大事な人だよ。大きくなったらママみたいになりたいの」

いつもこんな風にあなたはわたしを救ってくれる。

あなたを産んで、あなたに出会えて、わたしは幸せ。
子供は親を選んで生まれてきてくれると言うけれど、もしもそれが本当なら(そして本当だよとあなたは言ってくれるけれど)、わたしを選んでくれて本当にありがとう。

あなたに選ばれている、それだけでわたしは生きていける。
いつも、そう思う。