プリズンホテル
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とにかく読みましょう。お客さん、決して損はさせませんことよ。
馬鹿笑いして、きゅんとして、にやにやして、ほろっとして。そして不思議に元気が出てくる。
そして最後の数ページは、本が終わってしまうことが寂しくてたまらなくなって、わざとじっくり読んだりした。発育不全男も、極悪面の面々も、薄幸な女たちも、なんだかなあと思った人々が尽く愛しく思えてしまう。みんな大好き、そう思えてしまう。いつの間にやらわたしもこの凶悪かつ桃源郷のようなホテルに逗留していたようです。
浅田次郎が「メジャーな世界の論理ではどうともしようがなくなった苦悩が、マイナーな世界のエネルギーによっていとも簡単に啓蒙され、解決されてしまう」ことを描き出そうとした、と書いているのだけれど、本当にそうだ。日常の閉塞感の中で徐々にしおたれてしまいそうな心にカンフル剤をくれるのは、こんなものすごい負のパワーなのかもしれない。このホテルが、実在しないことが本当に本当に寂しい。
繰り返す毎日の中で元気がなくなったら、なんだか疲れちゃったら、また本を開いて、このホテルに泊まりに来よう。
個人的には
蒼穹の昴<天切り松闇がたり<プリズンホテル
だなー。