my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

蓬餅とビデオ

霧雨。いったん目覚めたものの、布団の中でうとうと。二度寝という贅沢を楽しむ。娘にいつも休日はお寝坊だと叱られるのだが、これがまたやめられない。ゆっくり起きて、朝からエンジン全開で待ち受けている娘に「ごめんね〜ぇ、えへへ」と呆けた笑顔を向け、コーヒーで覚醒する、いつもの休日。
午後、先日の映画が好評だったので、レンタルビデオで借りてきた「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ戦国大合戦」を観ていると、近所の子が娘を誘いに来た。5時半までに帰ってくるようにと約束すると、霧雨の中を、子犬のように二人の少女が飛び出していく。その背中を眺めつつ、残されてしまったわたしは、一人寂しく、掃除などをはじめる。こんな風に訪れる突然の一人の時間は、いつも所在なくて、何故かいつも何処にも出かける気にもなれず、家事をして過ぎていく。そしてこういう時の家事は皮肉なことにいつも妙にはかどるのだけれど。きっとこんなわたしの知らない時間が、これからどんどん増えていくんだと思う。それが嬉しくて少し寂しい。


約束の時間通り娘が帰宅して、褒めてドアを開けると、手には何やらおみやげをもらってきた。お邪魔したおうちのおばあちゃんがヨモギ餅を作って持たせてくれたのだと言う。作りたての餅はまだ湯気が少し感じられて、温かいお手製の餡はなんとも上品な甘さと豆のうまみがある味だった。あんこが苦手な娘とわたしだけれど、これはとても優しい味で、ビデオの続きを観ながらペロリと平らげた。おばあちゃんの味に感謝。

ビデオはこれまで観たクレヨンしんちゃんの中では一番おもしろかった。時代劇風なので娘にはとっつきにくい部分が多かったようだけれど、親としては、切なさも余韻も物語性もあって、楽しんでしまった。見終わった後、最近娘は分からなかった部分を「どうして?」と問いかける。良くできた物語には収まるべきところに収まるという受け手の期待をかなえさせることと、その期待を、意外な形で裏切ることの両方が含まれている。期待を裏切られると言うことは、驚きや心を震わせることに必須なのではあるけれど、きっとそういう意味では、子供の心は追いついていけない部分があるのかもしれない。

そしてハッピーエンドじゃない物語は何処かで納得できないと娘は思っているんだろう。


そうだね、わたしもハッピーエンドの方が好き。