郷愁にも似た…

ラッシュアワーの電車事故。
せっかく今日は早めに帰宅できると思っていたのに、と、人混みに揉まれイライラしながら、電車を乗り換えた。不機嫌なままホームを端までズンズン歩く。

ホームを歩ききり、目の前に広がった新宿のネオンが綺麗で、無性に誰かに見せたくなった。見慣れているはずの、当たり前の景色が。
そう思って、携帯電話のカメラのシャッターを押した。どうせ綺麗には映らないかもしれないと思いながら。

上京した頃、東京はこんな風に見えたんだっけ。
恋をしていた頃、街はこんな顔をしていたんだっけ。

懐かしいのに、見慣れた景色。
いつもそこにあるのに、何も感じなくなっていた心。

思い出せただけで、こんなトラブルも、ささくれた心も、少しほぐれていく。