my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

呼び止める香り

ふと、庭先を通り過ぎるときに微かな香りに呼び止められて足を止めた。呼ばれた方に目をやると、金木犀の花が咲いている。その顔を見つめれば、何故か今年は香りも薄く、色も薄い気がする。追いかけるような、纏い付くような、小さくてもわたしはここだと主張するような、強さが感じられない。
朝夕の肌寒さに秋は確かに感じるのだけれど、それが強く香らねば秋の気がしない。そんな金木犀。冬を誘う一雨毎に、道に散って、橙の可愛らしい花模様を作る姿は相変わらずだけれど。
いつもよりも元気のない短い秋を納めようと携帯カメラのシャッターを押した。小さくても、密やかでも、今年も秋がほら、今ここに。