my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

マライアキャリーが流れると

question:1100257142

ドラマ「29歳のクリスマス」(1994年、フジテレビ)を第一話から最終回まですべて観たことのある人に質問。
あの話の中で、悪女キャラクターが二人出てきます。
(1)水野真紀の演じた「若さが売りのうちにエリートサラリーマンと婚約。結婚前に後腐れない恋愛遊びをしたいから、柳葉敏郎を利用する」女。彼女は若いので、山口ら30代目前の「オバサン」をバカにしている。
(2)稲森いずみ演じる「幼なじみの仲村トオルに、叶わない恋と知りつつ片想い中。仲村は政略結婚をしなくてはいけないので、彼に近づく一般庶民の女は認めない、と山口智子に嫌がらせをする」女。彼女はお金持ちのお嬢様なので、山口の家柄やキャリアをバカにしている。

うろ覚えですが、こんな感じでしたよね?
さて、ドラマを全話通して観た方に質問。二人のうちどちらか「嫌いじゃない」悪女キャラはいますか?
いる方は、1.その名前(二人ともでも可)、2.その理由、3.回答者の性別をお聞かせください。

こんな質問が出ていたので、懐かしい…、と思い出していた。29歳のクリスマス、大好きだったなぁ。東京で自活しようとする女性像を見事に描いていたドラマだったと思う。オンエア当時、山口智子の演じた主人公の本当の苦しさがわかっていたかどうか、と言われると定かじゃないけれど、山口智子に感情移入しまくりで見ていた。わたしには松下由樹のような、もう弱いんだか強いんだか分からないところがなんとなく似ていた友達がいて、その子の「今側にいてあげないとどうなるかわからない」的な弱さや、かと思うといきなり大胆なことを知らぬ間にしでかしてしまうところに、度肝を抜かれたり。仕事や恋があそこまで劇的じゃなくてもつらいときに、頷きながら応援しながら見られるドラマだった。山口智子が傷つくときの怒りなんかは非常によく分かったなぁ。仲村トオル扮するお坊ちゃんに「私は自分の足で歩いてきたの」ってのを啖呵切って訴えるシーンなんかで、うんうん、と。

で、水野真紀稲森いずみもどっちも厭な女だったのだけれど、稲森いずみは悪女ではないだろう。自分の価値観を疑うことがない、金持ち故の鈍さはあるんだけれど。意図的に人をさげすんで傷つける発言をしても、それは、まぁ、好きな人を奪われたという負け犬の遠吠えであったりもするので、意地悪ではあっても悪女というのは相応しくない気がする。水野真紀の人の好意を自分のエゴに利用する、というのと比べたら、人を傷つける度合いの大きさは雲泥の差がある。こっちのはいわば確信犯。でもそういう気持ちが透けて見えていたりするので、まぁまだまだ可愛いのじゃないだろうか(と、今になってみれば思う)。好きな人を失いそうになって家柄にしがみつくしかない女、目先の打算だけで動き、人を好きになることが分からない女、どっちも可哀想な人であることに違いがないわけで。当時から嫌う気も起きなかった、というか、どっちも眼中になかった、といえば、わたしはもっと厭な女なんだろうか。

今見れば、また違う感想を持つのかなぁ。でもきっと今見ても、あの結末は切なくなっちゃうだろうな。思い切り感情移入した主人公って、どうもハッピーエンドじゃないドラマのような気がする…。