my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

ディテールの差

よくいらっしゃるお客様に、お土産をいただいた。言付かった部長が「お嬢さんに、だって。お嬢さんっていたっけなぁ」とのたまう。「はいはい、お嬢さんなんて呼ばれる歳じゃないですよ。悪うござんした」と受け取る。ウェストのリーフパイだった。銀座でわざわざ立ち寄って「僕が好きだから」という理由で自ら買ってきてくださったそうな。

このお客様は非常に紳士的で、さすが一部上場企業の重役という風格と穏やかな物腰が素敵なおじさまなのである。「お嬢さん」というのは社交辞令だと重々分かってはいても、ちっとも嫌みでもくすぐったくもなく、非常にさりげない。それに何より、たかがお土産一つでも、こうやってわざわざわたしのために用意してくださったということ、そのことが嬉しいのだ。

当然ながら、いつも部長についでに煎れてあげるお茶とは手間も気合いの入れ方も違うっちゅうものである。お茶を差し出す笑顔も違うというものである。仕方ないじゃないの。これは差別じゃないのよ。ディテールの差は心の潤いの差。

こういう物腰や女性への気配りや接し方一つで、女性は柔らかくなれるもんだ、ということを、どうして学習しないのかなあ…、と周囲(=毎朝爪を飛ばしたりしているおじさんとかアイスクリームの保管場所を携帯電話で聞いてくるおじさんとか)を見回す。はぁ(ため息しか出ない)。

女は男の人に大切に扱われれば、それだけ潤って、優しくも綺麗にもなれる生き物なのです。何も歯の浮くような言葉じゃなくて(付け焼き刃でやったって似合わない人多いだろうし)、多忙な中にもほんの少しの気遣いや、大切に扱われているという実感さえあれば、美しくなれるんです。老いも若きも日本男児は、そのへんの女性の扱い方わかってないなあ、と思うことが多いなあ。ま、言っても駄目だろうけど。