my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

王女様の歯磨き

先に起きた娘の質問に時々受け答えしながら、なおも布団の中で気持ちよくまどろんでいる休日の朝。一週間でもっとも幸福な平和な時間。いきなり口に何か突っ込まれた。

「あーんして」


シャカシャカシャカ。清涼剤のような匂いと味が否応なく覚醒させる。歯ブラシだ。娘がわたしの歯を磨いているのだ。

さすがに歯磨き粉を口に入れられては、濯ぐにはもう起きあがるしかない。なんて賢い作戦だろうか。いったいどうしてこういう方法を思いついたのか。我が子ながら凄い。感心する気持ちと、無理矢理起こされた憤懣と、口の中の気持ち悪さが複雑にない交ぜになったまま起きあがる。自分の意志とは関係なく歯を磨かれるって、こんなに言いようのない複雑なもんだったのか。
仕方ないので口を濯いで、洗濯を始める。予定より早く目覚めたので、家事は思うより早く仕上がってしまった。うーん、得したかも。どうせなら平日もこの調子で起きて欲しい、娘よ。あ、わたしが来週から歯ブラシ突っ込めばいいのだな。


眠り姫には王子様のキスより、歯磨きが効く、らしい。