my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

休み時間の廊下で

先日の本が届く日なので、学校へ行く。運び込まれた箱から、自分のクラスの分を探し、貸し出しリストと本をチェックして、休み時間内に教室へ運ぶ。本をチェックしているとき、ずっと中腰だったので、腰が痛くなった。本を運ぶのは重かったけれど、まだ2階なので、これは幸運だったかもしれない。6年生なら6階まで本を運ぶのだから。


本を運び終えたとき、担任の先生に呼び止められた。昨日の醜態への謝罪をしていると、先生は笑って「今日は一番乗りでしたよ!」と言う。そして、実は娘が図書室にまだいるので、連れてきて欲しいと切り出す。クラスの子たちが図書の時間が終わって図書室を出るというのに、娘だけはまだ読んでいるので行きたくないと駄々を捏ねたらしい。娘は熱中すると、スパッと切り上げることができない性格なのだ。「お母さんが行ったらきっと吃驚すると思うんです」と先生がおっしゃるので、また恐縮しつつ、娘を呼び出しに行くことにする。
さて図書室、と、迷路のような校内を探すと、丁度同じクラスの女の子が、「あ!○○ちゃんのおかあさん!」と、わたしに声を掛けてくれた。

「図書室ってどこだっけ?」と尋ねると、彼女は「連れて行ってあげる」と微笑む。わたしの知っている彼女は恥ずかしがりでマイペース、けして愛想のいい子じゃないのに、色々と話してくれる。
「図書係で来たの?」
「うん、そうよ」
「おかあさんが去年図書係だったんだよ。今年はね…」
子供の笑顔はふくらし粉みたいだと思う。彼女の親切さに、この子に好かれているんだと素直に思うことができる。ぺしゃんこになりかけていた心が、またふっくらと自信を取り戻す気がした。ああ、わたしは何度こういう子供の優しさに助けられていることか。
「もうここで大丈夫よ。ありがとう」とお礼を言って別れると、図書室の入り口から娘が丁度出てきたところだった。
「あ、おかあさん!」と嬉しそうな顔。
「あのね〜、どうしてここに来たか分かる?」
娘の顔が急にふくれっ面になる。そして泣きべそ。
肩に手を置いて、教室の方へ歩きながら、先生やクラスのみんなを困らせちゃ駄目だよ、と話す。娘は怒りながら泣きそうな目をして、肩に置いたわたしの手に頬を何度も擦り付けてくる。
教室に着くと担任の先生がいて、図書の時間を担当してくれていた先生に謝ってこようかと持ちかけると、娘はこくんと頷いた。担任の先生に付き添われて職員室へと歩く背中に「ちゃんと謝ってくるんだよ!」と声を掛ける。


がんばれ、がんばれ。