my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

眠れる森

再放送していた「眠れる森」を観た。折良く最終回。1998年の放送だったというから6年も前になるのか。このドラマは好きだった記憶がある。タイトルバックの森の幻想的な景色や揺れるハンモックと、主人公二人*1がビジュアル的に綺麗でよろしい。竹内まりやの曲も切ない。カメラワークとか展開の早さとか、細かいところの叙述が足りない感じがあるのだけれど、あの全編に漂う禍々しい血の匂いはクックにも通じるようなトラウマを感じさせる。記憶の中の血の惨劇。そこにたしかにあるはずの、眠っていて表層に出てこない記憶を掘り起こしていく、というテーマに妙に惹かれるのだろう。だから好きだったのかと今更ながら納得。

見終わって、ラストがどうしてこうなるの?と言いたくなるほど納得いかない〜!と放送当時と同じことを思う。嫌な予感はあったのだが、伏線をすっかり忘れていて一体どうしてこうなっちゃうの?と疑問符が。きっとこの納得のいかなさは、わたしが主人公に感情移入していて、彼女に幸せになって欲しいと思っていたりするからなんだろうか。それとも直季のような見守っている男に弱いからなのか。全てを知って、受け入れて生きる、そういう姿をちゃんと見届けたかったからなのか。
果たされなかった約束はいつも切ない。おまけに十分につらい思いをしてやっと癒え始めた人に、新たな傷は酷すぎる。物語としては悲しい方が美しいのだけれど。

http://www.fujitv.co.jp/jp/b_hp/nemureru/

このテーマに添っていくならば、怒濤の恐怖や悲しみを描いた後、生き抜いていく姿を予感させるのではなく、しっかりと描くべきだったんじゃないか、と思う。

「この先、どんなことがあっても生き続けなければいけない・・・」という主人公の台詞がこれからの悲劇をも予感させ、ラストに悲しく響く。そしてエンディングロールで「脚本 野沢尚」の文字を見て、その台詞の皮肉にもっと切なくなった。