my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

水浸しの縁日

縁日。学童の保護者会の出し物のヨーヨーの用意をする。
午前中から児童館に集まり、いよいよヨーヨー作りである。水をはったバケツの中にヨーヨーの風船を入れ、注射器のような空気入れで膨らまして、口を捻って渡される。その口にゴムを巻き付けて、すかさず専用のプラスチック製の留め口で止める、というお仕事。留め具は専用の機械にセットして、風船の口と巻き付けたゴムの部分を留め具に挟んで、一気に下に向けて押すのだがこれが意外に難しい。一度で覚えられず何度か父親勢からレクチャーを受け、挑戦。しかし、ゴムがとまってないヨーヨーができたり、留め具が先に閉じてしまったり。不意に手が滑りヨーヨーの口がぶしゅうーっとゆるんで水浸しになる。自分だけならいいのだが教わった人まで濡らしてしまい、穴があったら入りたい状態に……。
手慣れた彼らのやる様を見て、「わたしってこんなに不器用だっただろうか? そんなはずでは……」と焦りつつ落ち込む。が、ここで落ち込んでも仕方ないと、とにかく一生懸命やってみる。空気で膨らます子供用のプール2個に500個ぶんのヨーヨーを作らなくてはならないのである。

去年のクリスマス会の時には160食のビーフシチューと16枚のアップルパイ作りを午前中だけでやらねばならず大変だったのだが、いかに山ほど大量の材料であっても、料理という作業ではあったので手際はともかく経験値こそあったし、みそっかすにはならずに済んだのだが。(しかし、あのときは料理と言うより、製造工場な雰囲気だった。味とか繊細さとか加減とか、かけらもない感じ…。)
わたしはどうもこういう日曜大工的作業が心底下手くそらしい。悲しい。要領が良くないのは分かっているんだけど。でも、こういうときこそ熱意でカバーと、いくつもいくつも渡されるヨーヨーを留めていく。

そして誰かもまたぶしゅうとヨーヨーの中身をぶちまけ、わたしもまたやってしまい、みんな水を掛け合い、と作業が終わった頃には水浸しであった。


帰宅して娘に昼食を食べさせ、着替えて洗濯をする。一呼吸付いた後でお店の準備でまた出かける。

縁日は子供たちの出店と父母会や地域のボランティアなどで成り立っている。招待券や当日券を渡して、引き替えに「おかねけん」と換えてもらう。10と書かれた升目を金額分潰してお買い物ができるのである。娘は今年小物やさんの店長さんになり、張り切っている。クリップにビーズの目を付けて緑に塗ったワニさんや蝋を溶かして作ったキャンドル、黄色いボンボンにビーズの目とフェルトのくちばしを付けたひよこ、松ぼっくりに色を塗り、ビーズで飾ったクリスマスツリー、糸を編んだストラップ、絵はがきなどを売っている。売れ残ったら可哀想なので、最後の方に行って買ってあげようと思ったが、結構早い段階で値下げをしたりなどして売り切れたらしい。

他の子たちも趣向を凝らした作品揃いで、紙粘土で作った果物や動物にマグネットテープを付けたものや、独創的なゲームやさんや、ポップコーンやアイスのお店など、どこも盛況である。特に男の子たちの作った焼きビー玉などは、内部が細かく砕けたビー玉の光がとても美しかった。

娘が店番をする番になったので、わたしもヨーヨーやさんの店番をしに行く。わたしは今回は受付とのことだったので午前中の作業よりは楽だった。並んで差し出されるおかねけんを金額分塗りつぶし、釣り具を引き替えに渡す。ただし、ヨーヨーは一人一回までなので、何度もやってくる子は断らねばならない。ずるはいけない、でも厳しいと楽しくない、と、そのへんの匙加減が難しい。
ともあれひたすら塗りつぶして渡す内に、時間は過ぎて、落ちた釣り具を拾ったり、プールの水を捨てたり、洗ったり、と、後かたづけして終了した。その後みんなでビールを飲む。そして午後4時過ぎという微妙な時間に飲んだので帰宅し面倒くさくなって親子で夕寝した。

娘は何度も見事に使い切ったおかねけんと、その代償に得た成果を眺めて飾っていた。いつの時代も女は買い物が好きなもの、なのである。