my trivial daily life

観劇備忘録のようなもの

消えて残るもの

6月最終日。雨の音で目覚める。ああ、梅雨だなと思うような強い雨。しかし夕方にはさっぱりと雨が上がって涼やか。

蒸し暑いと素麺ばかり食べた挙げ句ばてるのだが、今夜は心地よいので、食欲も出てきたようで冷蔵庫整理もかねて、チーズフォンデュにした。茹でたウインナやニンジン、ブロッコリ、ジャガイモなんかが手軽で美味しく食べられるし、食事の支度も簡単だし、子供も食べやすくて、結構有難いメニュー。


両親は共働き、祖母の料理で育ったわたしには、幼少期こういう料理が食卓に並ぶことはなかったので、当たり前のようにいろんな国の食材が手に入り、食卓にもメニューが並んでいることが羨ましく感じられて、ちと娘に言ってみた。

「おばあちゃんって、ハンバーグとかスパゲティとか食事に出してくれたことがなかったんだよ〜」
「ええ、かわいそう。 じゃあ、何食べていたの?」
「だから、ごはんと、お味噌汁とお漬け物と、煮物とか焼き魚とか」
「でも、それはそれで、いいじゃん」と和食好きな娘。
「まぁね。でも、子供だったから、グラタンとかオムライスとかたまにでもお母さんに作って欲しかったなぁ」
「ふーん」


それが当たり前の世代に、珍しかった時代のことなど言っても想像できないだろうな。*1
それにしても、あの頃の母の料理がわたしにとって母の味であり、こうやって作っては跡形もなく消えていく料理が娘にとっての「母の味」になるんだろう。
料理が下手だった母だけれど、それでも特別だった物や、未だに思い出してリクエストするものもあるのだから、わたしの料理の中でも何かが彼女の中に残るんだろうなと思いつつ。
それが何なのか、いつかはレシピを聞かれたり、作ってとおねだりされたりすることもあるのだろうか、と今から想像しては楽しく思っていたりする。

*1:っていうか、うちが特にまったり和風だったのだけれども。